文部科学省「小学校図画工作科」絵画表現に限定した学年別まとめ(2020年度以降の新学習指導要領に準拠)
学年別指導のねらい
■ 低学年(1・2年生)ねらい:
身の回りのものや出来事から感じたことを、色や形にして自由に描く楽しさを体験する。
活動例(絵画表現):
- 楽しかったことを思い出して描く(遠足・運動会など)
- 好きな動物やおばけなど想像して描く
- 手や指で絵の具を使った感触的な表現
- 大きな紙にのびのびと描く活動(共同制作含む)
育てたい力:
- 感じたことを色や形で表す
- 描くことで「表したい気持ち」を楽しむ
- 友だちの絵から違いに気づく
■ 中学年(3・4年生)ねらい:
自分の体験や観察をもとに、表したいイメージを工夫して絵に描く力を育てる。
活動例(絵画表現):
- 観察画(野菜・花・身近な道具など)
- 物語や空想の世界を想像して描く
- 写真やスケッチをもとに構成を考える絵
- 光や動きを意識した描き方に挑戦する
育てたい力:
- 見ること・考えること・描くことをつなげる
- 表現の目的に応じて色・構図などを工夫する
- 鑑賞を通して表現のよさに気づく
■ 高学年(5・6年生)ねらい:
自分の思いや考えを計画的に、イメージに合った描き方で深めて表現する力を養う。
活動例(絵画表現):
- テーマを自分で決め、構成・色・描き方を計画して描く
- 風景画や人物画などを自分の視点で描く
- 実在のもの+想像を組み合わせた絵画表現
- 自分の作品を振り返り、言葉で説明・評価する
育てたい力:
- 表したいことに合った技法・材料を選ぶ
- 作品の意図や工夫を他者に伝える力
- 社会や文化とつながる美術的な見方・考え方を育てる
絵手紙は、絵と言葉で表現することを通じて「人とつながる教科」です。
作品を通して感じ合い、認め合い、協力し合う——。
その一つひとつの経験が、子どもたちの表現する力と、人と関わる力の両方を育てていきます。
1. 絵画表現の目的と、絵手紙表現の目的
文部科学省の新学習指導要領では、図画工作科の「表現」領域において、絵画と工作を区別せずに総合的に指導することが求められています。
しかし、絵画表現には特有の価値があります。加えて、絵手紙の表現にはそれ以上の価値があります。
その説明記事。( )
• 感じたこと・楽しかったことを自由に描く
- 一人ひとりの思いや個性が表れやすい
- 他者の作品を見ることで気づきや学びが生まれる
絵を描くという活動を通して、表現する力だけでなく、人と関わる力、自己肯定感、共感力なども育っていきます。(絵手紙では初めから自分の気持ちを誰に伝えたいかを考えて書き始めます。)
2. 各学年における絵画指導の重点
低学年(1・2年)
- 感じたこと・楽しかったことを自由に描く
- 色・形・描き方の面白さを楽しむ
- 違いに気づき、友だちの絵にも興味をもつ
中学年(3・4年)
- 観察や経験をもとにした構成的な絵
- 色や構図の工夫、空想表現への発展
- 作品の良さを見つけて言葉で伝え合う
高学年(5・6年)
- 自分の思いやテーマをもって構想し描く
- 意図に合った材料や技法の選択
- 自他の作品について説明・評価し合う
3. 鑑賞と助け合いを通した人間関係づくり
鑑賞のねらい
- 他の子の作品を見て「良さ」や「違い」に気づく
- 感じたことを自分の言葉で表現する力を育てる
活動例
- 「この絵のどこが面白いと思った?」
- 「自分だったらどう描いた?」
- 描き方に悩んでいる子に自分の書いたのを見せる
- 「ここがすてき」と素直にほめる
- 友だちのアイデアから学ぶ
●教師が答えを与えるのではなく、子ども同士の対話を促す環境づくりが重要です。
教師は「絵が上手に書けない、苦手と思う」方が、安心感を与えます。
こうしたやりとりは、教師の働きかけではなく、日頃の鑑賞活動やクラスの雰囲気づくりによって自発的に生まれます。
4. 教師のかかわりの工夫。声掛け次第で大きく変わる
声掛けの具体例の記事は ( )
5. 絵画表現(絵手紙)を通して育てたい資質・能力について
- 感じたことを素直に表す力(自己表現力)
- 他者の良さに気づく力(共感力)
- 言葉で伝える力(コミュニケーション力)
- 協力し合える力(人間関係形成力)
図工は「手を動かす教科」ではなく、「心を育てる教科」です。絵画表現を通して、子どもたちの豊かな心と関係性を育んでいきましょう。
特に「絵画表現(絵手紙)を通して育てたい資質・能力」には、子ども自身が自分の心と向き合い、表現することが積極性を育てます。また他の人に思いやりを示すなどの寄り添う視点が入っています。絵画表現、言葉表現の両方の要素が入っている絵手紙は、人間性を育むのにとても良いものです。